法 話

2023-11-04 13:15:00

恐れない心

師子王は百獣に怖じず

日蓮大聖人ご遺文「聖人御難事」

みなさん「師子王」とは何を想像されるでしょうか?

多くの方は「ライオン」を想像されたかと思います。百獣の王ライオンは他の動物達に怖気ずに、毅然とした姿で百獣の頂点に君臨しています。

 

お釈迦さまは35歳で悟りを開いた後、45年間に亘り教えを説かれて来られました。この45年間の間に説かれた教えの時期によって様々な教えがまとめられ、膨大な数の経典が作成されこれら総称して仏典といいます。

この、多くの教えがまとめられた経典でありますが、唯一法華経にのみお釈迦さまご自身が「私は仏道をもって無量の国土において初めから今日に至るまで広く諸経を説いてきた。しかしその中においてこの法華経が第一である」と。さらには「この法華経もまた、帝釈が三十三天の中において王であるようにこの法華経が諸経の中の王である」とおっしゃられているのです。

 

非常に難しく、急に信じることが困難であるお釈迦さまの一番に伝えたかった教えを説く為に、前段階として色々な教えを説いてきたが、この法華経こそが最も大切であり、諸教を百獣と例えるならば法華経こそが百獣の王である師子王なのです。

 

このお釈迦さまの1番大切な教えである法華経、そして法華経の功徳を頂ける「南無妙法蓮華経」のお題目を信じて唱える者は、必ずやお釈迦さまや諸天善神からのご加護を頂けるのです。

 

信じるとは、何も疑わずに信じること。まさに赤ちゃんがその味を知らずに母親のお乳を飲み栄養を頂き命を繋ぐ事と同じように、法華経・お題目を信じれば、母から我が子への慈愛と同じくお釈迦さま・諸天善神からのご加護が頂けるのです。

 

世界情勢や経済、異常気象や新たなる病気等々、現代を生きる私たちは様々な不安を抱えながらに日々の生活をしています。時には不安に駆られ何を信じてよいのか、また暗く長い困難の先には光があるのか疑ってしまう時もあります。

 

その様な時こそ、今一度今月の聖語のお言葉を思い出しましょう。法華経・お題目を信じる私たちには必ずやご加護が頂けるのです。師子王の如く困難に怯まず、自身に自身を持って明るい未来へと進んで行きましょう。

2023-10-01 09:56:00

早死にの秘訣

今月の聖語 

   

一日も生きておわせば功徳つもるべし

 

日蓮大聖人ご遺文「可延定業書」

一 、三度の食事は腹一杯食べてどんどん太りましょう。

一、お酒は毎日三合以上呑みましょう。

一、煙草も必ず三箱以上吸いましょう。

一、努めて脂肪分の多い食べ物を食べましょう。

一、塩分の多い物を食べましょう。

一、コーヒーは砂糖をじゃんじゃん入れてガブガブ飲みましょう。

一、体はあまり動かさずお風呂は遠慮しましょう。

一、近所付き合いはやめましょう。

一、夜ふかしをしましょう。

一、毎日イライラした生活をしましょう。

 

上記は明らかに体に悪そうな「秘訣」ですが、これはある方が実際にお話されている『早死の秘訣』なのです。この話しを教えてくれた方はご年輩の方を対象に『長生きの秘訣』を教えている人なのですが、、、

どうも『長生きの秘訣』を説いても守らないそうです。そこで、これを逆手にとって『早死の秘訣』を教えるのだそうです。

これだけのことを守れば必ず早死にができます。さぁ、今から始めましょう‼という訳ですが、『逆もまた真なり』いや、『逆こそ真なり』。意外と長生きの為の行動に一役買っているそうです。

 

人間には誰しも『欲』があります。その中には『生存欲』というものがあります。しかし、長生きしたいと思っていても案外長生きする為の努力をしていない人が多のではないでしょうか?そんな時は是非、この『早死の秘訣』をヒントにしてみてください。 

日蓮聖人も「一日も生きておわせば功徳つもるべし。あら惜しの命や、あら惜しの命や」(可延定業書)と申されています。つまりは、『一日多く生きれば一日多く功徳を積める。それ程に命とは有り難いものである』ということです。

 

私たちは受け難い命をいただき、多くの人達に支えられて今を生きています。

曲がりなりにも、今日一日無事に過ごせたということはどんなにありがたいことでしょうか。惜しまれる命を精いっぱい生きることによって積まれる功徳もあります。

 

命をいただいて生かさせていただいている限りあるありがたい時間。どの様に使っていたか、そして今後はどの様に使って行くかを考えてみましょう。命の大切さ・ありがたさを感じた時、自然と掌が合わさり仏の心が生まれている事でしょう。

2023-09-03 12:38:00

仏の種を育てるお題目

今月の聖語 

   

生死を離るる身とならんと思ひて候

 

日蓮大聖人ご遺文「妙法比丘尼御返事」

 

このお言葉は日蓮大聖人が出家される時の決意が示された一文であります。

生死を離れる身とならんとは、生死生死と流転していく苦悩多き凡夫の身のことであり、その凡身を離れるとはすなわち安心(あんじん)の境地に至り成仏することであります。さらには、大聖人自身だけでなく、全ての人々の仏の種が芽生え仏へと至るようにとの決意が示されています。

悟りや成仏・到彼岸などという言葉も同じ意味と言っていいでしょう。

こういう言葉を並べると、私たちは、自分とはまったく無縁な別世界のことのように思いがちです。

 

しかし、すべての人の中には仏になれる種が仏さまからすでに頂いているのです。だから、その種子を見いだし育てることによって安心の境地に至れるのです。芥川竜之介の小説「蜘蛛の糸」に出てくるカンダタのような悪逆非道の人間でも、蜘蛛の命を一瞬でも憐れむ気持ちが生じたのです。その一片の人間らしさ…それが仏性です。

 

そして日蓮聖人は「南無妙法蓮華経」のお題目によって仏の種を育むことになるのだとお示しになりました。自分は悟りを得ることが出来ないと卑下したり、他者を誹謗中傷したりするとき仏の種は発芽に至りません。

「南無妙法蓮華経」と唱えると、仏の種が芽を出します。

私たちはその芽を大事に育て、自分も世の中も幸せになるように努めなければなりません。

 

時には何が正しいのか見えなくなり、先行きの不安や疎外感を抱くこともあるでしょう。そのようなときにこそ、心の中の仏の種を育むように、お題目を唱えることが大事なのです。

まもなく秋のお彼岸の時期です。ご先祖さまや亡き方に手を合わせながら、皆さまの心に下された仏の種が育っていることを感じてください。

2023-08-01 00:00:00

自らの心から生まれている幸せと不幸せ

今月の聖語 

   

餓鬼は恒河を火と見る

 

日蓮大聖人ご遺文「曽谷入道殿御返事」

 

私たちが見つめる世界は、たとえ変わり映えしない景色や日常であっても、決して同じ瞬間はなく、絶えず移り変わっています。それは物質的なことだけではなく、私たちの心もそうです。私たちはその絶えず移り変わる心を通して物事を見つめていますから、その移ろう心を通して見える世界もまた常に変化していきます。

たとえば、抜けるような青空を見たとき、心も晴れやかであれば「気持ちいい空」になりますが、心に影が差すようなことがあれば、どれだけキレイな青空でも曇って見えてしまいますし、時には晴れている空を憎んでしまうことさえあります。

同じ物や景色・境遇でも、自身の心の状態によって見え方は変わってしますのです。

 

上記のご遺文は、渇きを癒やすはずのガンジス河の水も、欲望に支配された餓鬼の心の時は火に見え、人間として平穏な心で見れば、そのまま水と見え、喜びに満ちた天人には甘露(不死の飲料)に見えると述べられています。

仏事でよく読む自我偈。その1つひとつの文字は、私たちにはただの文字にしか見えないが、仏さまの教えを信じて見れば一文字一文字が仏さまであることに気付くのです。

 

何故自分ばかりが・・・と嘆く言葉を耳にする言葉でありますが、それは自身の心が作り出している不幸なのであります。同じ貧しい境遇であっても、自分だけが貧しく不幸なのだと下を向いて歩む人生と、貧しくても今日も食事をいただけなんとも有難いことだと上を向いて感謝の心を持って歩む人生。どちらが幸せな人生でなのしょう?

 

両親やご先祖さまからバトンをいただき、多くの方々のお陰を以て日々生かされていることに感謝し、心豊かな人生を歩んでいきましょう。

2023-06-05 12:31:00

思い切りよく進む為に

日蓮大聖人ご遺文

今月の聖語

   各々思い切り給え

         日蓮大聖人ご遺文『種々御振舞御書』 

春の訪れを華やかに彩っていた桜もすっかりと葉桜となり、木々の葉をいっそう青々と濃くさせる季節。青梅雨の訪れと共に紫陽花が美しさを増す時期です。花の移り変わりと同じく、私たちも桜とともにスタートした新年度から2ヵ月程が経ちました。学校や職場や役職、または人間関係など色々な環境に変化に、最初は戸惑っていた皆さんも、少しづつその環境に慣れてきたころではないでしょうか?

 

新たな環境に慣れてくると同時現れるのは、期待や希望と同時に、不安や悩み・苦しみです。私たちは自分の思い描く良き未来へと進むためには、種々の決断をしなくてはならないのです。時には、環境が一変してしまうような決断をしなければならない時もあります。

 

様々な決断をする時、思い切りよく決断できるにこしたことはありません。しかし迷いが生じて、煮え切らないこともあります。気持ちの整理がつかず混乱し、時にはやる気や元気を失ったりします。そんな時、皆さんならば何を基準に判断をしていますか?

 

表題の「各々思い切り給え」。日蓮大聖人は財や名誉をかえりみず、その命を賭してまで突き進んだ道はお題目を弘める事でありました。それは、多くの人々を救いたいとの生涯揺るがぬ信念のもと進んだ道であります。

 

時勢や環境に左右され、自分自身の考えや信念を忘れ突き進んでしまった後、「なんであの時こうしなかったのか」と後悔してしたことが私には何度かあります。

悩み迷い判断が難しい時は、一度立ち止まり冷静になって初心にもどり、自身の信念や想いが何であったか。また、その決断が本当に良い事なのかを見つめなおしてみては如何でしょうか。

 

揺るがぬ信念のもと、本当に良いと考える道を思い切り歩んだ先には、花々のように人々の心を惹きつけ笑顔をもたらし、その信念は種となり多くの人々の心に芽生える事でしょう。

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