法 話
新春初祈祷のご案内
心豊かに生きる為の「師」
弟子のしらぬ事を教たるが師
日蓮大聖人ご遺文「開目抄」
みなさんは「師」というと何を思い浮かべられるでしょうか?
学校の恩師であったり、習い事の先生や仕事の先輩など、年上の方や社会的地位の高い方を思い浮かべられる方が多いのではないでしょうか?
しかし「師」とは、年上の人や社会的地位の高い人であるとは限りません、あなたより若い人かもしれません。子供たちの素直な心から学ぶこと、自分が嫌だと思う事を行った人から学ぶ他者へに慈しみの大切さ。さらには「師」とは人に限った事ではありません。
何気ない山も川も天も地もすべて真理の現れであり、目に見えるすべてに仏性が宿っているのです。目に見えるもので不要なものはひとつもなく、全てが私たちに心豊かに生きるためのに仏さまが教えを示しているのです。
様々な活動の中で、ある障害を負った子供さんのお母さんの明るい笑顔に涙がでそうになったことがありました。彼女の笑顔の奥には、それを乗り越えるのにどれだけの苦しみを味わっただろうかと。
しかし、彼女から聞いた言葉は「障害を知った時は絶望で全てが暗く先が見えない状態でした。しかし、今笑顔でお話しできるのも、全てはこの子のお陰なのです。この障害を負ったからこそ、たくさんの人の優しさにふれつ事ができ、今までは見えていなかった小さな喜びも知ることができたのです。この子と一緒に私も成長させてもらってるのです」と。
どんな不幸も考え方、行いで人生を変えることができるのです。
今辛い方は、辛い方の気持ちがよくわかります。そういう人にしかできない助けもあります。
どんな状況であっても必ず私たちを心豊かな人生へと導く「師」である仏さまからの救いの手は差し出されています。
何気ない日常から師の教えを見つけ、心豊かな人生を送りましょう。
恐れない心
師子王は百獣に怖じず
日蓮大聖人ご遺文「聖人御難事」
みなさん「師子王」とは何を想像されるでしょうか?
多くの方は「ライオン」を想像されたかと思います。百獣の王ライオンは他の動物達に怖気ずに、毅然とした姿で百獣の頂点に君臨しています。
お釈迦さまは35歳で悟りを開いた後、45年間に亘り教えを説かれて来られました。この45年間の間に説かれた教えの時期によって様々な教えがまとめられ、膨大な数の経典が作成されこれら総称して仏典といいます。
この、多くの教えがまとめられた経典でありますが、唯一法華経にのみお釈迦さまご自身が「私は仏道をもって無量の国土において初めから今日に至るまで広く諸経を説いてきた。しかしその中においてこの法華経が第一である」と。さらには「この法華経もまた、帝釈が三十三天の中において王であるようにこの法華経が諸経の中の王である」とおっしゃられているのです。
非常に難しく、急に信じることが困難であるお釈迦さまの一番に伝えたかった教えを説く為に、前段階として色々な教えを説いてきたが、この法華経こそが最も大切であり、諸教を百獣と例えるならば法華経こそが百獣の王である師子王なのです。
このお釈迦さまの1番大切な教えである法華経、そして法華経の功徳を頂ける「南無妙法蓮華経」のお題目を信じて唱える者は、必ずやお釈迦さまや諸天善神からのご加護を頂けるのです。
信じるとは、何も疑わずに信じること。まさに赤ちゃんがその味を知らずに母親のお乳を飲み栄養を頂き命を繋ぐ事と同じように、法華経・お題目を信じれば、母から我が子への慈愛と同じくお釈迦さま・諸天善神からのご加護が頂けるのです。
世界情勢や経済、異常気象や新たなる病気等々、現代を生きる私たちは様々な不安を抱えながらに日々の生活をしています。時には不安に駆られ何を信じてよいのか、また暗く長い困難の先には光があるのか疑ってしまう時もあります。
その様な時こそ、今一度今月の聖語のお言葉を思い出しましょう。法華経・お題目を信じる私たちには必ずやご加護が頂けるのです。師子王の如く困難に怯まず、自身に自身を持って明るい未来へと進んで行きましょう。
早死にの秘訣
今月の聖語
一日も生きておわせば功徳つもるべし
日蓮大聖人ご遺文「可延定業書」
一 、三度の食事は腹一杯食べてどんどん太りましょう。
一、お酒は毎日三合以上呑みましょう。
一、煙草も必ず三箱以上吸いましょう。
一、努めて脂肪分の多い食べ物を食べましょう。
一、塩分の多い物を食べましょう。
一、コーヒーは砂糖をじゃんじゃん入れてガブガブ飲みましょう。
一、体はあまり動かさずお風呂は遠慮しましょう。
一、近所付き合いはやめましょう。
一、夜ふかしをしましょう。
一、毎日イライラした生活をしましょう。
上記は明らかに体に悪そうな「秘訣」ですが、これはある方が実際にお話されている『早死の秘訣』なのです。この話しを教えてくれた方はご年輩の方を対象に『長生きの秘訣』を教えている人なのですが、、、
どうも『長生きの秘訣』を説いても守らないそうです。そこで、これを逆手にとって『早死の秘訣』を教えるのだそうです。
これだけのことを守れば必ず早死にができます。さぁ、今から始めましょう‼という訳ですが、『逆もまた真なり』いや、『逆こそ真なり』。意外と長生きの為の行動に一役買っているそうです。
人間には誰しも『欲』があります。その中には『生存欲』というものがあります。しかし、長生きしたいと思っていても案外長生きする為の努力をしていない人が多のではないでしょうか?そんな時は是非、この『早死の秘訣』をヒントにしてみてください。
日蓮聖人も「一日も生きておわせば功徳つもるべし。あら惜しの命や、あら惜しの命や」(可延定業書)と申されています。つまりは、『一日多く生きれば一日多く功徳を積める。それ程に命とは有り難いものである』ということです。
私たちは受け難い命をいただき、多くの人達に支えられて今を生きています。
曲がりなりにも、今日一日無事に過ごせたということはどんなにありがたいことでしょうか。惜しまれる命を精いっぱい生きることによって積まれる功徳もあります。
命をいただいて生かさせていただいている限りあるありがたい時間。どの様に使っていたか、そして今後はどの様に使って行くかを考えてみましょう。命の大切さ・ありがたさを感じた時、自然と掌が合わさり仏の心が生まれている事でしょう。
仏の種を育てるお題目
今月の聖語
生死を離るる身とならんと思ひて候
日蓮大聖人ご遺文「妙法比丘尼御返事」
このお言葉は日蓮大聖人が出家される時の決意が示された一文であります。
生死を離れる身とならんとは、生死生死と流転していく苦悩多き凡夫の身のことであり、その凡身を離れるとはすなわち安心(あんじん)の境地に至り成仏することであります。さらには、大聖人自身だけでなく、全ての人々の仏の種が芽生え仏へと至るようにとの決意が示されています。
悟りや成仏・到彼岸などという言葉も同じ意味と言っていいでしょう。
こういう言葉を並べると、私たちは、自分とはまったく無縁な別世界のことのように思いがちです。
しかし、すべての人の中には仏になれる種が仏さまからすでに頂いているのです。だから、その種子を見いだし育てることによって安心の境地に至れるのです。芥川竜之介の小説「蜘蛛の糸」に出てくるカンダタのような悪逆非道の人間でも、蜘蛛の命を一瞬でも憐れむ気持ちが生じたのです。その一片の人間らしさ…それが仏性です。
そして日蓮聖人は「南無妙法蓮華経」のお題目によって仏の種を育むことになるのだとお示しになりました。自分は悟りを得ることが出来ないと卑下したり、他者を誹謗中傷したりするとき仏の種は発芽に至りません。
「南無妙法蓮華経」と唱えると、仏の種が芽を出します。
私たちはその芽を大事に育て、自分も世の中も幸せになるように努めなければなりません。
時には何が正しいのか見えなくなり、先行きの不安や疎外感を抱くこともあるでしょう。そのようなときにこそ、心の中の仏の種を育むように、お題目を唱えることが大事なのです。
まもなく秋のお彼岸の時期です。ご先祖さまや亡き方に手を合わせながら、皆さまの心に下された仏の種が育っていることを感じてください。