法 話
2023-08-01 00:00:00
自らの心から生まれている幸せと不幸せ
今月の聖語
餓鬼は恒河を火と見る
日蓮大聖人ご遺文「曽谷入道殿御返事」
私たちが見つめる世界は、たとえ変わり映えしない景色や日常であっても、決して同じ瞬間はなく、絶えず移り変わっています。それは物質的なことだけではなく、私たちの心もそうです。私たちはその絶えず移り変わる心を通して物事を見つめていますから、その移ろう心を通して見える世界もまた常に変化していきます。
たとえば、抜けるような青空を見たとき、心も晴れやかであれば「気持ちいい空」になりますが、心に影が差すようなことがあれば、どれだけキレイな青空でも曇って見えてしまいますし、時には晴れている空を憎んでしまうことさえあります。
同じ物や景色・境遇でも、自身の心の状態によって見え方は変わってしますのです。
上記のご遺文は、渇きを癒やすはずのガンジス河の水も、欲望に支配された餓鬼の心の時は火に見え、人間として平穏な心で見れば、そのまま水と見え、喜びに満ちた天人には甘露(不死の飲料)に見えると述べられています。
仏事でよく読む自我偈。その1つひとつの文字は、私たちにはただの文字にしか見えないが、仏さまの教えを信じて見れば一文字一文字が仏さまであることに気付くのです。
何故自分ばかりが・・・と嘆く言葉を耳にする言葉でありますが、それは自身の心が作り出している不幸なのであります。同じ貧しい境遇であっても、自分だけが貧しく不幸なのだと下を向いて歩む人生と、貧しくても今日も食事をいただけなんとも有難いことだと上を向いて感謝の心を持って歩む人生。どちらが幸せな人生でなのしょう?
両親やご先祖さまからバトンをいただき、多くの方々のお陰を以て日々生かされていることに感謝し、心豊かな人生を歩んでいきましょう。